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ま……今回は電撃を放てるリールを着けているから弱らせる事は出来るんだけどな。

行け! スタンショック!

バチバチっと糸を伝って青い鳥に電撃が走った。


「ギャア!?」


バチバチっと電撃を受けて青い鳥はのけ反りダメージを受けた。

よし、そのまま一本釣りで引き寄せてフィニッシュ。

ビクンビクンと俺の手元で痙攣して倒れる青い鳥。

……えっと、アイスヘローンって言う魔物みたいだ。


「サギ」

「鳥の?」

「そう」


ああ、もしかして氷のサギって事か?

しかし……フィッシングコンボで鳥を釣る俺は何なんだろうか?

ペックルを釣っているから今更な気もする。

ただ……うん。フィッシングコンボで釣りあげた魔物はそれ以上暴れないみたいだ。

多分、このまま収納出来るだろう。


「絆さん。分かりましたよ!」


なんてやっている所で、硝子と紡がこっちにやってくる。


「ここの主が?」


何処かのNPCが主の情報を教えてくれたりするのだろうか。その可能性を忘れていた。


「違います」


なんだ違うのか。


「お兄ちゃんの方は……なんでアイスヘローンがここに?」

「釣った」


しぇりるがここで短く言うと、硝子が困った様な顔をして紡が笑い始めた。


「魚じゃないですよね。水の中に居たんですか?」

「いや、魚を掠め取ろうとして来てそのまま」

「ああ……なるほど」

「お兄ちゃんの所だと何が起こるか分からないから片時も離れない方が良い気がするね!」


本当、何なんだろうな。

とりあえず面倒なのでそのまま収納する。


「本当に収納されちゃいましたね」

「他のプレイヤーにこの瞬間だけ見られたらどうしたら魔物を収納出来るんだ? って聞かれそー」


確かに。


「絆殿……」


ここでお約束の様に闇影がやって来た。

タイミングが悪いと言うか何と言うか。闇影ってこういうポジションだよな。


「どうしたら動いている魔物を収納できるでござる?」


なんてお約束のやり取りの後、説明をしてから本題であった調査結果を聞く事になった。


「NPCに聞いた話だとね。あの渓流にはガラの悪い河童が生息しているって人がいたよ」

「倒した扱いでクエストが進みましたね。皿を攻撃して割ってから本体を攻撃すると戦いやすくなると言われました」

「進んだって事は別のクエストに派生する訳?」

「はい。なんでも渓流の先に悪行河童の巣があるので、沢山倒してほしいとお願いされました」

「こんなクエストがあるんだね。お兄ちゃんと一緒に行くまで気付かなかったよ」


俺のお陰みたいな事を言われてもな。


「しぇりるは水の中とか興味無かった訳?」

「あんなの見てない」

「出現条件があるんじゃないかな? キュウリを持ってるとか」

「絆殿のルアーが代用してしまったでござるな」

「たぶんな。とにかく、クエストが進んでよかったな」


こんな発見があるのも面白いと言ったら面白い所だ。


「あの河童の強さから考えてもう少し絆さんと狩りをしてからが良いかと判断します」

「好きにして良いさ」


その為に色々と準備していたんだしな。


「早くまた狩りに行きたい気もするね」

「まあ行っても良いんじゃないか? あ、その前にやりたい事があるから待ってもらって良いか?」

「ええ」


俺は徐に橋の下の方に回り込んで仕掛けた物を確認する。


「お?」


俺が仕掛けた代物と言うのは竹筒と呼ばれる魚が逃げられない様にする一方通行の罠漁の仕掛けだ。

その竹筒を確認すると……中にウナギが入っていた。


「ウナギってもっと下の河口とかに生息する魚じゃなかったか?」


流れが穏やかな川下の橋の下に設置したんだけどさ。

まあ、捕れたならそれでよし。

ズルンと竹筒からウナギを出していると硝子達がきょとんとしている。


「絆さん。罠の腕前が上がった様に見えましたが……」

「うん。仕掛け漁があるのが分かってさ。これなら皆と狩りをしながらでも釣りが出来ると思ってさ」


流れの急な方に仕掛けたら何が引っかかるか検証が必要だ。

ここ一週間の検証で釣竿での釣り以外でフィッシングコンボは作動していないからこれもある意味、安全に獲物を確保出来る手段と言える。

トラップマスタリーとフィッシングマスタリーの間の扱いがこの仕掛けだ。


どんどん橋の下に仕掛けた竹筒を確認して行くと……ウナギが三匹引っかかっていた。

他は沢ガニやムラサキシガイって貝が入っていた。

成果は上々かな? 生息図が滅茶苦茶な気もするけど、そこはゲームだからしょうがないか。


「徹底してるねお兄ちゃん」

「これで皆と狩りをしている間にも釣りが出来る様なもんだ」

「あの短時間で結構仕掛けていますよね」

「橋の下に仕掛けがずらっと並んでいるでござる! 景観が悪いでござるよ!」

「ああ、これって仕掛けたプレイヤーとパーティー以外は見えない設定らしいから気にするな」


アルトとこの辺りは検証済みだ。

俺も遊んでいただけではなく、アイテムやスキルの効果などを調べたりしている。


「あ! さっき絆さんと港に合流した時に船に何か違和感があるのはこれだったのですね」


そりゃあ船の周囲に仕掛けを施し済みだからパーティーメンバーである硝子達は分かっているはずだろう。


「そう」


しぇりるは分かっていたみたいだぞ。


「ウナギだよね? さっきの」

「ああ、捌いて蒲焼にでもするか? 俺の料理技能だと出来ると思うぞ」

「うん! ウナギ食べたい! うな重食べたい! うな重」


紡は言うまでも無く、ウナギは好きだ。

姉さんもだな。高い料理が好きなのは知っている。

どこぞの探偵団の食いしん坊みたいな台詞を言ってるな。


「ウナギと言ったら通は白焼きでござるよ」


闇影が玄人染みた事を言い出した。

さすがは忍者と言った所か。

和風関連で攻めるつもりなのかもしれない。


白焼きで思い出したが、ウナギの蒲焼って関東風と関西風があるんだよな。

一度白焼きを蒸してから焼くのが関東風で、蒸さずに焼くのが関西風だ。

どっちが美味いかは人によってそれぞれだな。

ゲームでその差があるかは……後で実験するか。


「うなぎゼリー……」


しぇりるがボソッと言った。


「それは拙者の好みではないでござるな」


食った事あるのか。

確かイギリス料理だったはず……詳しく知らん。

フランスとごっちゃになるからだ。

よし、珍しい料理自慢なら負けないぞ。


「なら、オレはうなり寿司で勝負だ!」

「某県某市の名物でござるな」


なん、だとっ……!?

某県で2010年代後期に生まれた名物を知ってやがるだと。

コイツ、実は食通だ。

ただのネタビルド好きではない!


鰻料理



「早く早くー!」

「クエストはどうするんだ?」

「クエストを受ける前にうな重だよ! お兄ちゃん!」


って感じにハイテンションになって行く紡を余所に硝子と闇影、しぇりるの反応は大人しめだ。

もしかしてうちだけなのか?


「硝子はウナギは嬉しくない?」

「いえ、美味しいとは思いますよ。絆さんの釣って料理してくれる品々はとても美味しいですから期待してます」


ああ、特に変わらない俺への信頼……と言うか大人な反応なだけか。


「ウナギは確かに美味しいでござるな。絆殿がどう料理するのか楽しみでござる」

「……美味しい、らしい」


むしろ紡のテンションがおかしいだけか。

しぇりるはよくわからないけど知ってるって程度なのか。


「じゃあ食いしん坊な妹の為にクエスト前だけど調理して食べるとするか」

「わーい! お兄ちゃん大好き!」


こういう時だけ甘えてくる現金な妹め!

なんて思いながら料理技能で調理を開始。

食事用の持ち歩いていた米を炊き、ウナギを捌いて白焼きにし、タレを塗ってかば焼きにする。

解体技能のレベルが高いから綺麗に捌く事が出来たな。

料理技能と合わせるとより精度が上がる。

料理と解体はシナジー効果があるので覚えて損は無い。


「ところで闇影」

「なんでござるか?」

「河童肉と尻子玉で鍋が作れそうなんだが、食べるか?」

「なんで拙者にだけ聞いてくるでござるか!?」


いや、尻子玉抜かれた闇影に戻して上げないといけないかと思ってと言いたい気持ちはグッと堪える。

ネタにしてもやっていい事と悪い事があるのだ。

そこの分別は持っておこう。


「しょうがないな。闇影にもウナギを作ってやろう」

「納得行かないでござる!」


米もゲーム内にはしっかりあるので調理機材を出して料理して行く。

宿屋の厨房とかを使わせてもらえたりするな。

もちろんレンタル料金とか払う事になるけれど。

とにかく、持ってきた米やウナギ、タレとかで皆が満足する料理を作製する。


あ、ウナギを解体した肉で白焼きを作れて、かば焼きにも出来る。

割とレパートリーは豊富だな。

素材が無いとレシピが出ないのもあるから奥が深い。

お茶も持っているから……うん。ひつまぶしも作製可能な様だ。


ちなみに料理技能をブレイブペックルは所持している。

近くにいるとサポートと言うかバフを掛けてくれるのが最近分かったので呼び出して近くで待機させて作った。

補足であるが料理関連はミニゲーム……作製の結果が良いと+が非常に付きやすい。

消耗品だからかね。


そんな訳でウナギ料理を人数分作って皆の所に持って行って配った。

軽く作ったのに+6な代物が出来た。

最大HPやエネルギーを一時的に増加する効果があるのが出たぞ。

料理系の特化な人だともっと上の代物が作れそうな感じだなぁ。


「わー! ウナギウナギー!」


紡がごちそうが運ばれてきてテンションが滅茶苦茶上がっている。


「……うな重、美味しい。らしい」


しぇりるは初めて食べるって様子でうな重を見ているな。


「あれ? 絆さん。私のはひつまぶしなんですか?」

「ああ、硝子はこっちの方が好きそうなイメージでな。紡としぇりるには入門でうな重だ」

「拙者は白焼きでござる!」


俺も一応ひつまぶしだ。食い足りないかもしれないので米は多めに用意してある。


「じゃあ頂きます」

「いただきまーす!」


紡の大きな声と共に皆思い思いにウナギ料理を食べ始める。


「んー! お兄ちゃん美味しいよ! 他のVRMMOで食べた事あるけど、再現率はこっちの方が高いね!」

「そうか」


紡がうな重を夢中になって食べながら言う。


「美味しいですね。絆さん、腕をあげましたね」

「色々と技能を振ったりしてるからなぁ」


解体が俺の特技故に料理の腕前も自然と上がりやすい。

ウナギ単体を捌く方が得意かな。


「良い味でござるな」

「一応、捌き方一つで関東風か関西風か別れる、みたいな細かさがある様だぞ」

「一緒くたにしない奥深さがあるでござるな」


本当にな。


「……」


で、しぇりるは黙々とうな重を食べているようだった。


「うな重はどうだ?」

「……」


俺が声を掛けるのだけどしぇりるは聞こえていないのか食べ続けている。

夢中になっているって事で……良いのか?

うな重を食べ終えてからしぇりるは頭を上げた。


「お、いしい」

「そうか」

「また食べれる?」

「仕掛けに掛っていればな」

「そう」


どうやら気に入ってくれたようだ。


「香ばしく、それでいて柔らかくて良い味ですね。タレも良いと思います」


因みにタレは調味料を配合して作れる。

俺の所は両親が共働きの影響で姉さんと俺で料理をする事がそこそこある。

お陰でこの手の調味料に関しては多少心得があるんだよなぁ。

そんな訳でみんなしてウナギを堪能し、英気を養った。




で、しばらく赤鉄熊を倒してエネルギーを稼いでから、様子見と言う事で悪行河童の討伐クエストの場所に向かう。


「こっちに隠し通路があるみたい。ほら、クエストを受けたら見えるようになってる」


半透明の茂みが出現している。

通ると茂みが消えて道が現われた。

洞窟っぽいな。こっちでは別の魚が釣れそうな気がする。

ピチョンと水音が響いているなぁ。

それと所々にツララもある。


「ギャア!」


バシャっと洞窟内の川から悪行河童が数匹飛び出して来た。


「行きます! ハ!」


バキンと硝子がテンポよく悪行河童たちの皿に攻撃をして割って行く。


「頭を狙えば良いだけだから難しくは無いね!」


紡も同様だ。ただ、鎌を横振りではなく縦振りで攻撃していた。

狭い場所だと鎌が引っかかる判定だからだそうだ。


「増援」


洞窟の奥から増援の悪行河童が出てくる。


「そっちは既に罠を設置済みだ」


ピッと釣竿でルアーを飛ばして起動させるとボンって音がして洞窟の奥に仕掛けた落石の罠が起動。悪行河童達に降り注いで皿を割り、スタンさせた。


「今でござる! サンダーボール!」


闇影が尻子玉を抜かれた腹いせなのか弱らせた悪行河童に率先して弱点攻撃を行う。


「罠が非常に便利ですね」

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